新井由己の仕事帖

2003年12月03日 (水)

密航列島 

 中国の裏社会に詳しいノンフィクション作家・森田靖郎さんの本。森田さんとは地平線会議で何度も会ったことがあり、興味深い報告会にも顔を出している。膨大な著作もさることながら、テレビ番組の製作やプロデュースなど、その活動は多岐にわたる。
 この本は、阪神・淡路大震災の混乱に乗じて中国大陸から密航に成功した人たちや、その背後にある「蛇頭」と呼ばれる組織の足取りを丹念に追い、密航組織の仕組みや背景にある社会をあぶりだしている。
 中国からの密航は、97年の年明けとともに、より大規模に行なわれるようになってきた。以前は日本海側の特定地域に集中していた密航船も、しだいに日本列島各地に点在するようになった。森田さんによれば、97年7月の香港返還が影響しているという。中国社会に組み入れられる前に荒稼ぎしてしまおうと思った香港蛇頭が、駆け込み的に集中的な密航を仕掛けたようなのだ。
 ときおりニュースで見る「難破船」や「密航船」の実際がどうなっているのかが、読みやすい文章でつづられ、迫力のあるノンフィクション作品として仕上げられている。長年積み重ねてきた取材の質がうかがえるような内容である。

著 者/森田靖郎
発行所/朝日新聞社
発行日/1997年5月?日
定 価/1700円(税別)
四六判・238頁・上製
ISBN4-02-257147-0

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