
お米や大豆のように、タネそのものを食べているものもあるが、野菜や果物のタネは取り除いて捨てられる運命にある。ところが、生ゴミを畑に埋めたら、そこから立派なカボチャが育ったというほど、タネの生命力は強い。
「捨てていたタネが、芽を出し、葉を広げ、樹になる!! 今日のおかずに使ったカボチャのタネ、デザートのリンゴのタネ、なんでもいいからとにかく今すぐまいてみてください。たった一粒のタネに、楽しいことがたっぷりとつまっています」
そんな提案をする本書は、ゴミ同然に捨てられていたタネが、植物の生命の元であることをあらためて気づかせてくれる。園芸店でタネを買わなくても、ガーデニングを始めようと気負わなくても、食べ残したタネから芽が出ることがわかれば、植物をもっと身近に感じられるのではないだろうか。
市販されているタネは、しっかり発芽して育つことが当たり前。ところが捨てられるはずのタネは、発芽するかどうかもわからない。果物のタネならば、成長して実を結ぶまでの期間も長いし、育てる場所も必要だろう。
「ガーデニングと無縁のあなたにこそ、発芽を体験してほしい。タネが芽を出すということが想像以上に感動的なことであり、しかもその芽が葉をつけ、茎を太くし、ぐんぐん成長していく過程を見守るのがどんなに楽しいか、ぜひとも味わっていただきたいのです」
著者は「タネまきは文化である」と言う。江戸時代、大名から庶民まで、朝顔ブームに沸いた時期があったそうだ。花の形や色に特徴があるものをかけ合わせて、オリジナルの「変わり咲き朝顔」を育てて品評会が行なわれていた。
同じように、捨てられるはずのタネをまいて、どんな芽が出て、どんな花が咲くのか、じっくり観察してみるのも楽しい。新しいタネが採れたら、それをまいてみよう。そのうちに、自分だけの品種が生まれるかもしれない。そう考えたら、タネを捨てるのがもったいなくなってきた。
著 者/藤田雅矢
発行所/WAVE出版
初 版/2003年5月31日
定 価/1300円+税
四六判変型・232頁・並製
ISBN4-87290-155-X
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●目次
タネまき体験記
今すぐまこう! 食べたタネ--まえがきにかえて
第一章 捨てるな、うまいタネ
タネ。食べカス同然と馬鹿にするなかれ
タネなんて、食生活のなかの「ジャマもの」でしかないのか?
たかがタネ、されどタネ。タネの大切さを見直そうではないか!
食いカス同然のタネだって、生きているんだ、発芽するんだ♪
見過ごすな、こんなに身近なタネたち
観葉植物的にも楽しめる、マイ・ミニ農園をつくろう
発芽という現象に秘められた“癒し”の効果
昔懐かし朝顔観察日記。懐古気分でタネの成長を追えば……
COLUMN タネはどこから来てどこへ行くのか
一粒でこんなにおトク!? タネがもたらす豊かな生活予測
“タネまき皮算用”で楽しい(?)シュミレーション
まずは、発芽を楽しむことから始めよう
自分自身の“園芸力”を試そう
タネまきシュミレーション、まずはアボガドでトライ
人生に果樹園があるという喜び!
「もっと早く、とにかく収穫がしたい」せっかち派には……
たった一粒のタネから、こんなにも多大な恩恵が
COLUMN にわかプラントハンターの勧め
タネまき生活は、安全な食生活への第一歩である
本来「タネをまくこと」は、食生活の基本だった
タネまき生活と「身土不二」
他地域産より地域産、地域産より自分産
輸入ものには、“食の危険”がつきまとう
「畑」と「食卓」が仲よくなれば、食べ物は安心なものになる
タネをまくこと、それは食の安全に結びついている
COLUMN 同じ苗から生えぬタネ屋の秘密
一粒のタネから始まる、“自給自足”体験
食べ物はすべて、タネから芽生えてやってくる
日本人の胃袋は外国産の食べもので満たされている!?
比較的自給率の高い野菜類も、輸ものが増えている
特産品や伝統食ですら“メイド・イン・外国”となっている
食料を自給できない日本は、独立国とはいえない!?
タネをまくこと。それは“自由”への第一歩だ
「土に親しむ生活」がトレンドになる!?
タネまきから始めるクリエイティブなスローライフ
COLUMN 五穀豊穣を体感する
タネの守り人がいた! タネはもはや「貴重品」の時代
“操作されたタネ”からとれた作物を、私たちは食べている
“おいしい作物”のタネは、少しずつ消えている!?
品種の減少化は、世界的な規模で進んでいる
捨てていたタネが、砂漠化する地球を救う
COLUMN メモリアルツリーをまこう
第二章 タネから広がるワンダーワールド
タネは他力に任せて自力を養う、さすらいの旅人なのだ
タネってヤツは、思う以上に強くたくましい
タネはこんなふうに旅をする
私たちはタネの“タネまき作戦”に利用されていた!?
タネとの出会いは一期一会
COLUMN マイオリジナル品種をつくる
ところで“発芽”ってなんだ?
発芽はタネにとって一世一代の大博打なのだ
発芽のタイミングと条件
寒い季節をやり過ごしているから、発芽という大仕事にそなえる
タネは苗よりも強し?
COLUMN ベランダ野原の行く末
タネとは、どのようにしていつ生まれいづるものなのか?
“タネと出会わない”野菜のタネはいずこ?
タネは植物セックスによってできているのだ
私たちが食べている果実はめしべの下半身
COLUMN 英国タネまき事情
“食われるタネ”に見る、タネパワー
“食われるタネ”にはどんなものがある?
主食として食べている“タネ”=お米の偉大なる力
日本の伝統食はタネのオンパレード
ほかにもあるぞ、体にいいタネ
私たちの健康を支える、タネのパワー
COLUMN From キッチン to ガーデン
タネから育てる果樹。その大いなる楽しみ
果実はタネからではなく苗木で育てるのが一般的
果実も野菜と同じ。食べたタネから親と同じものはできない
ちょっとフクザツな果物の“結婚”事情
収穫できなくたって、樹木を育てるのはこんなに楽しい
第三章 いざあなたも“タネをまく人”に
手始めに、こんなタネからまいてみよう
“捨てタネ”の多くはやっぱりフルーツがメイン
果樹以外でまけそうなタネは?
さあ、実際にタネを取り出してみよう
取り出したタネは、果肉やぬめりを落とすのが基本
取り出したタネを保存するには?
タネをまくのはいつがいいの?
最低でも五個以上のタネをまいてみよう
COLUMN 江戸時代の文化遺産、変わり咲き朝顔
タネまきのために、こんなものを用意しよう
まずは発芽・育苗用の容器を用意
栽培用のコンテナにはこんなものが
鉢底ネット&鉢底石をお忘れなく
タネまきに使う土はどうすればいい?
そのほかに必要なものは?
COLUMN こんなものにもタネが
いよいよまくぞ! 発芽目ざしてレッツシード
採取したタネを水のなかに入れてみる
タネを土のなかへ、いざ
タネまき完了。その後のメンテナンスは?
「お! 発芽したぞ」。小さな幼芽を見つけたら
COLUMN 宝物としてのタネ
本書でお世話になったタネにまつわる方々の連絡先
参考文献
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投稿者 あらい/遊民
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