2007年04月28日 (土)
〈スピリチュアル〉はなぜ流行るのか

お遍路から戻ってすぐ読んだ本です。本の見出しから内容を拾ってみましょう。
ブログでのスピリチュアルなつながり/「千の風になって」が支持される背景/大学生の二四%が「自分には価値がない」/〈私〉は本質的に孤独なもの/「キッパリ!」はなぜ一二〇万部売れたか/うつ病とコミュニケーション不足/「ビーグッドカフェ」のネットワーク/mixiも「カフェ型コミュニティ」/「ケア」されるということ
本の中で印象的だったのは、かつて存在していた「地域社会」が崩壊し、人々はたがいに「見知らぬ他者」として存在しているという話でした。会社員にうつ病が増えている背景には、共同作業よりも個人で仕事をこなすことが増えて、職場での助け合いが減っていることが関係しているそうです。著者は「絆はほどけ、弱い『つながり』、さらに冷たい『つながり』になりつつある」と言います。これは他者との関係だけでなく、家族どうしでも「つながり」が希薄になっているといえそうです。
数年前から取材している自然農の川口由一さんも本に登場します。川口さんの言葉は、聞く人によっては宗教的に感じると思いますし、“教祖的な雰囲気”は僕も感じていました。
「お米の足もとで虫が生きてる。草が生きてる。なきがらの層で、小動物が生きている。微生物が生きている。そこで、人間も生きれますのやわ。ほかのいのちが生きているところで、生かされるわけです」
実は、地球全体をひとつの生命体として捉え、自分もその一部だという考え方は、新宗教(黒住教、金光教、天理教、大本教、霊友会、生長の家、立正佼成会、PL教団、創価学会、世界救世教、天照皇大神宮教など)に共通している思想のようです。その後、カルト教団が社会問題として目につくようになってから、「宗教=いかがわしいもの」と思われるようになったのでしょう。
宗教は決してアヤシイものではありません。問題なのは、搾取しようとする教団と依存心の高い信者なのです。流行のスピリチュアルも同じで、悪意があるカウンセラーに出会ったり、相談者が依存してしまうと、「自分の人生をどう生きるか」という本来の目的から離れてしまいます。
人は何かにつながっていることで、生きている実感が得られる。それは、新刊の『エコロジーショップの働きかた』でも書いたことでした。社会や他者のためにするものが仕事だとすれば、自分以外の何かとつながりを持つことが生きることなのかもしれません。
宗教が敬遠される一方でスピリチュアルが人気なのは、何かとつながりたい人たちが増えている証拠でしょう。守護霊や前世を知ることで、自分ひとりではないことを感じるのかもしれません。
著 者/磯村健太郎
発行所/PHP新書
初 版/2007年3月29日
定 価/720円+税
新書判・208頁・並製
ISBN978-4-569-69036-0
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