新井由己の仕事帖

2009年08月09日 (日)

感じる・調べる・もっと近づく 仏像の本 

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■仏像は見るものではなく、出会って感じるもの

 ある日、J-WAVEを聞いていたら、今日のゲストは「仏像ガール」という言葉が耳に飛び込んできた。仏像+ガールという語感に反応して聞き始めたら、その内容と語り口に引き込まれ、ラジオを聞きながらすぐに本を注文してしまった。

「私たちよりもずっとずっと長く生きてこられた仏像には、たくさんの想いが込められています。……つくったり、直したり、守ったり、拝んだり、長い長い時間の中にある想像できないくらいたくさんの人の力や想いが、仏像の本当の魅力をつくっているような気がします。だから、無条件に感動したり、涙が流れたりする」(はじめにより)

 著者の廣瀬さんは、中学3年のときに父親が他界し、それをきっかけに「死」と「生」について考えるようになったという。中学生のころから奈良や京都の寺院を訪ねるのが好きで、高校生になって京都の三十三間堂に初めて入り、涙がボロボロ流れ落ちたそうだ。父親のことを考えたわけではなく、自分と同じ人間がこんな素晴らしいものを作ったことに感激したと振り返る。
 仏像を目の前にしたときに、厳かな気持ちになったり、ありがたがったり、手を合わせてみたり、何か感じないといけないのではないかと身構えてしまうところがある。著者も仏像を好きになった最初のころは同じ気持ちだったらしい。
 でも、魅力的な異性がいたら思わず目で追ってしまうのと同じように、見知らぬ仏像に出会ったら、心を無にしてじっと観察してみよう、と著者は言う。「感じる」「調べる」「通う」といった順に、“大好きなあの人”に迫っていけばいいのだ。
 本書は、顔・手・足・髪形・服装・持ち物などパーツごとの解説があり、興味を持つきっかけを与えてくれる。例えば、開いた手を胸の辺りに掲げているのは「安心してね」という意味。手のひらを開いてひざの前にたらしていたり、ひざに乗せているのは「あなたを救いますよ」という意味。また、耳にイヤリングを付けているのは悟りを開く前の菩薩さまで、大きな穴がぽっかり開いているのは悟りを開いた如来さまというふうに見分けられる。
 実は本書を読むまでは、如来と菩薩の違いも知らなかった。仏さまの世界は、悟りを開いた「如来」、悟りの世界と人間界の掛け橋の「菩薩」、怖い姿で悪者を改心させる「明王」、仏さまの世界を守る「天」の4つに大きく分類される。仏像が3つ並んでいたら、真ん中が如来像で、両側は菩薩像という決まりごとがあるらしい。
 仏像は「見るもの」ではなく「出会うもの」。だから、新しい出会いを心から楽しんでほしいと話す著者のもうひとつの肩書きは「仏像ナビゲーター」。「仏像ガール」はまさに菩薩さまのような役目を担っているのかもしれない。

著 者/仏像ガール(廣瀬郁実)
監 修/西山厚
発行所/山と渓谷社
初 版/2008年11月
定 価/1600円+税
A5判・148頁・並製
ISBN978-4-635-39010-1

仏像ガール|仏像をポップに楽しむためのサイト
http://www.buddha-girl.com/

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↑Top: 投稿者 あらい/遊民 | ブックレビュー
コメント

はじめまして
先日大仏師の松本明慶さんの話を聞いてきました。
お弟子さんも礼儀正しく、自分の礼儀の知らなさ
を恥じ入った次第です。仏像を一目見ただけで
その悪いところが見えてしまうところも驚きでした。

↑Top: Posted by: 松尾 : 2009年08月24日 21:09
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